上杉さんチの酔っ払い事情


俺・上杉謙信はその日、甥の景勝とその近習・兼続をよんで酒を飲んだ。

景勝が下戸なのは知っていたが、ちょっと無理に飲ませてみた。

まさか、あんなことになるとは夢にも思わずに…



------------------飲み始めてから三十分後。


…やってしまった。


景勝「四百六十九番、上杉景勝!『桃色片思い』を歌います!
   も〜も〜い〜ろ〜の、かたおも〜〜〜〜〜い♪」

兼続「景勝殿御上手〜♪パ〜レット〜♪(意味不明)」


俺の前でリサイタルを始めた、酒に弱い景勝と悪酔いした兼続。

あれっぽっちの酒で完全に酔っ払ったようで。


景勝「こ、こ、こ、こ、こ、こばるとぶる〜♪(どことなくレゲイ調)」

兼続「シュビドゥバ〜♪シュビドゥバァ〜♪(なんとなく合いの手?)」


なんか、もう…。

手がつけられません!(泣)


景勝「ありがとう!ありがとう横浜の子供達ィ〜!!

兼続「ンもぉ、あんたホンマにべっぴんさんじゃけーのぉ!!」


誰だよ『子供達』って!ここ横浜じゃないし!越後だし!新潟だし!

っていうか、兼続は突然どこの方言を喋ってるのさ!?


景勝「ん〜?春分の日って一年に何回くるんだっけ〜?」

兼続「え〜?少なくとも六回は来ますよね〜?アッハッハ〜」


来ねぇよ!一回だけだよ!六回もきたらヤバイよ!むしろ別世界だよ!

…駄目だ。

こいつ等もう強制送還!

自分で飲ませといてナンだが、もう…ちょっと無理!いろいろ無理!



謙信「…か、景勝…もうお開きにしようか…」

景勝「イワシを?

謙信「いや、魚じゃなくて!干物じゃなくて!」

景勝「じゃあマグロを?

謙信「デカイよ!干せねぇよ!だから干物の話じゃないっつーの!」

景勝「さかなさかなさかな〜♪(踊る)」

謙信「魚から離れろー!」

兼続「『離れろ=俺だけのモノだ!』…御館様、魚が恋人ですか〜?」

謙信「違う違う!っていうか、意味が違う!」

景勝「禁断の愛?

謙信「違うっての!『魚の話から離れろ』って言ったの!」

兼続「『上杉謙信、熱愛発覚!相手はSAKANAさん(偽名・14歳)!』」

謙信「何だ、その女性週刊誌の見出しみたいな名称は!?」

兼続「…14歳…。御館様、ロリコンですか?」

謙信「違ぇよ!お前が勝手に作った設定だろうが!」

景勝「子供は何人欲しいですか〜?」

兼続「青山に一億円の豪邸を買ったって本当ですか〜?」

謙信「空言だよ!っていうか勝手に話を大きくするな!」

景勝「………………御館様が怒ったぁ〜(T□T)

兼続「あ〜泣かせた〜!い〜けないんだ、い〜けないんだ」

謙信「俺は保育師かよ!?少し落ち着け、この酔っ払いども!」

景勝「与六〜!御館様が俺のこと酔っ払いって言う〜(T□T)」

謙信「酔っ払いじゃねーか!っていうか泣くなよ!泣き上戸かよ!」

兼続「よ、よ、よ、よ、よ、よ、よ、よ、酔ってませんよ〜?」

謙信「いや、どもりすぎ!どもりすぎだから!完璧酔ってるから!」



↓…COOL DOWN…↓



何とか熱愛騒動(?)を否定して、俺は二人を二の丸につれて帰る事にした。
(※注:この当時、景勝&兼続は春日山城の二の丸に住んでいます)


謙信「お前等帰るぞ!送ってってやるから!」

兼続「え〜?まだ飲む〜」

謙信「飲まんでいい!景勝!お前も帰るぞ!!立て!」

景勝「分かりましたぁ…………俺ミュージシャンになりますよぉ

謙信「分かってねぇじゃん!何言ってんだ、この甥っこさんは!?」

兼続「じゃあライブの予行練習しましょうよ、景勝殿〜」

謙信「お前もやる気か兼続!?」

景勝「皆さんこんにちはー…蒲生氏郷です

謙信「思いっきり偽名じゃねぇか!」

兼続「僕も同じく、蒲生氏郷です

謙信「しかも同じグループ内に同姓同名のメンバー!?分かりづら!」

景勝「今日は俺達の特別ライブ『恋の片道絶句〜帽子くらい脱げよ〜』
   に来てくれてありがとう。一生懸命歌います」

謙信「どうでもいいけど、ライブのタイトル最悪だな…」

兼続「では最初の曲『越後産ほっかむり男』いってみよう!」

謙信「俺か!?俺のことか!?」

景勝&兼続「『♪ほっかむり〜ほっかむり〜♪』さんきゅ〜!

謙信「終わり!?

景勝「え〜、楽しかったライブも次で最後の曲になってしまいました」

謙信「短けぇぇ!!開始から三十秒もたってねぇよ!」

景勝「最後の曲は俺達にとって、凄く思い入れの強い、大切な曲です。
   それでは聴いてください…『火曜サスペンス劇場のテーマ』

謙信「歌詞が無えぇぇぇぇぇぇ!!!!!



↓…COOL DOWN AGAIN…↓



何とかライブ(?)を強制終了させ、俺は二人を二の丸につれて帰る事にした。

ここ本丸から二の丸へは十分弱。

二人とも大人しく付いてくると思ったのだが……



兼続「俺は火消しばしよるけん…お前に対する愛の炎は消さんばい!

なぜか廊下に置いてあったカーネルサンダース氏(の人形)にむかって
極めてオリジナリティの無いプロポーズを繰り出す樋口くん。

っていうかさ。お前、火消しじゃないから!


景勝「むきぃぃぃぃぃ!なによ!私よりその女を選ぶの!?酷いわ!」

違和感なく廊下に置いてあったカーネルサンダース氏(の人形)にむかって
実に気味の悪いオネェ言葉を操りながらしがみ付く上杉くん。

キモいよ!ただひたすらに!



…今日コイツ等に酒を与えて酔わせたのは俺だ。ええ、俺ですよ。

でもね。

もう無理!本っ当無理!!!!


俺は、大らかに微笑むカーネルサンダース氏に全ての責任を擦り付け、
舞踏会に行けないシンデレラのような表情でその場から逃げ出した(素足で)。


そして、景勝&兼続(とカーネルサンダース氏)がそのまま城下町へと繰り出し
『越後産ほっかむり男(オンリータンクトップの帝王バージョン)』
恥かしげもなく熱唱した事などつゆ知らず、俺は眠りについたのだった。


KOEI様的に景勝殿は下戸らしい(『太閤立志伝X』参照)ので存分に酔ってもらいました
書いてて異常に楽しかったような気が…。


※なんちゃってアフターストーリー。
『景勝&兼続(芸名:二人とも『蒲生氏郷』)と『いつもスキンへッツ(大友三人衆)』が
朝廷前でガチンコ勝負!勝ったほうが全国デビュー!売れない自作テープ!迫る制限時間!
「くッ…CDの裏面と同じくらい輝くあの頭達!駄目だ、あの光に勝てるわけない!」
「氏郷のばっかやろー!(右フック)」
「ごぶふぅ!!与ろ…じゃなくて、氏郷!なんてことをするんだ!痛ぇよ!」
「痛い…?いいや、そんなものは痛みのうちに入らない!そう…心の痛みに比べれば!」
「な、なんだって!?」
「僕達の音楽に対する愛はそんなものだったのか!?違うだろ!?」
「う、氏郷……俺、間違ってたよ!俺、もう一度歌う!歌ってみるよ!」

………あ り え ん !(-_-;)


モドル