弾正少弼の接待天国


ある日、長年の盟友であった信長が京を取ったという報せを受けた家康は、取り敢えず
祝賀を述べるために、家臣も連れずに上洛していた。


家康「いやー流石に華やかだなぁ、京は。やっぱ田舎の浜松とは全然違うし。
  よく考えてみたら、今回はじめて上洛するんだよね、儂。頑張っていつかは浜松も
  こういう感じにしたいなぁ。…ところで信長殿が接待役をつけてくれるって
  言ってたけど、どの人だろう?」

??「………(じー)」

家康「…さっきから儂のこと見てるけど、まさかこの人じゃないよね。
  接待役ならこんなに顔怖いわけないもん。早く来ないかなー」

??「………(ゴソゴソ)」

家康「…ん?何か取り出そうとしてるぞ…。旗かな…?」


『小歓迎!三河の糞ッたれ田舎者殿!』


家康「ぶっ!ちょ、ちょっとアンタ!
  なに平然とした顔で失礼極まりない旗掲げてんだよ!」

??「…はて、どちら様ですかな?
  三方ヶ原での信玄との戦で脱糞までした徳川家康殿に酷似していらっしゃる気も
  致しますが、わたくしの気のせいでありましょう」

家康「気のせいじゃないよ!儂が徳川家康だってば!
  ていうかアンタ、わかっててやってたろ今の!」

??「何の事やら…。初対面の相手に対して随分と失礼な方ですな。約64%三河殿

家康「何だよ、その64%って!だいたい儂まだ史実的に信玄と戦ってないし!
  ていうかアンタ誰だよ!」

??「何と!わたくしをご存知でないとは…。三河64%殿の田舎者振りもここまで
  くると爽やかの領域ですな。京になど来ずに、ダーマの神殿で
  黙々と乾燥わかめでも噛み締めていたら
如何で御座いましょうか」

家康「何でわざわざダーマの神殿まで行ってわかめを噛まなきゃいけないんだよ!
  確かにわかめは美味いけど、いつもいつも台所の隅で食ったりしてないもん!
  ていうかこの失礼な口の利き方、噂で聞いたことがあるような…。
  あーでも思い出せない…」

??「ふふん、家康程度に見破られる俺ではないわ!

家康「ちょ、ちょっと待て!何で背骨が砕け折れるほどに仰け反るんだよ!
  無意味に威張りすぎ!アンタ俺の接待係じゃないの?!」

??「Exactly!(そのとおりでございます)

家康「どっちの意味だかわかんないよ!
  ていうか丁寧な言葉遣いが逆に気に障る男だな、ホントに!」

??「…まぁまぁ家康殿。あまりツッコミすぎると身体に悪いですぞ。
  ささ、取り敢えずコレを見て健やかに、そしてそこはかとなく軽やかに
  感想を述べて下され」

家康「…ええと、人力車?豪華でいいんじゃない?よく分かんないけど。
  あ、儂をこれで運んでくれるわけね。うん、それじゃあお願いし…」

??「何をやっているのですか、家康殿。さっさとわたくしを運んで下され

家康「ちょ、おま!なに平然と座ってんだ!?

??「は?何を仰られますか。コレはわたくしの人力車ですぞ。わたくしの物に
  わたくしが乗って悪いことなどあるわけがありませぬ。それとも『お前のものは
  俺のもの』
というジ○イアニズムの継承者なのですか、貴方様は。
  しかしながらわたくし、ジャ○アンは映画版だけで結構でございますので」

家康「アンタのジャイ○ンの好みなんか聞いてないよ!だいたい何で儂が人力車を
  引かなきゃならないんだよ!おかしいだろ、根本的に!」

??「ふむ、何故と申されまするか。ではお答えしますが、これが昔からの京の
  しきたりに御座いますれば」

家康「…え、しきたり?」

??「ええ。昔から京は観光客が大層多う御座いまして、それに伴い人力車も
  発展したので御座いますが、ある時、人夫が衝撃的な事実に気づいたのです。
  『よく考えたら引いてやんのめんどくさくね?』と…」

家康「…それはただ単にその人夫が面倒臭がり屋だっただけじゃ…?」

??「いえいえ、そういう訳では御座いません。何せその人夫の意見は、人夫の
  仲間達のあいだで拍手喝采を持って迎えられ、そして今に至るのです。
  要するに、観光しに来た人間は、案内人を人力車に乗せ、背後から聞こえる
  案内人の尊音を拝聴する
という立場になったのです」

家康「…えー本当に?何かウソ臭いなぁ…」

??「疑われるならば結構で御座います。わたくし、今日は狸の接待よりも日光浴
  をしたい気分に御座いますれば、この場から動きませぬ」

家康「わ、わかったよ、しょうがないなぁ。ただし案内はちゃんとしてよね」

??「当然で御座います。それがわたくしの職分で御座いますれば。
  さて、出発して頂きましょうか。
  速度が遅かったら、容赦なく貴方様をバニーガールにさせていただきます」

家康「何故にバニー!?」

??「昨今あるアニメの影響で流行っておるそうで御座いますれば。
  さあ、まずはアニメイトを目指してくださいませ。方向を間違えた場合、
  微塵の容赦もなく、貴方様をメイド服に着替えさせます」

家康「アニメイトなんて分かるか!ちゃんと案内しろ!ん、アレは…」

??「ああ、アレが有名な五重の塔ですな。塔が五重になっております。以上。

家康「説明短ッ!真面目にやれーーーーー!!!!!!





信長「うーむ、遅いなぁ家康殿。予定なら30分前に到着してなければおかしい
  ハズなんだけど。早くしてくれねば『とっとこ!ハ○太郎MaxHeartの憂鬱』
  を見逃してしまう…って、来た来た。おーい家康どのー!」

家康「ぜーはーぜーはー…」

信長「あれ、何で家康殿が人力車を引いてるんだ?しかもおっさんの分際で
  メイド服を着てるし
、見苦しいことこの上なしなんだけど。美少年が着るのは
  最高に萌えるけど、おっさんは公害に迫る勢いだなぁ」

家康「ぜーはーぜーはー。お、遅くなり申した、信長殿…」

信長「うん、マジすっごい遅かったね。あと二分で京に火を放つところだったよ」

家康「怖ッ!アンタ気が短すぎるよ!」

信長「だって『ずんとこ!ハ○太郎SplashStarの消失』を見逃すくらいだったら
  町中が火の海になったほうがマシだし

家康「自己中ここに極まれりかよ!どうなってんだ、アンタの頭は!」

??「その『ハ○太郎』見逃す心配はありませんぞ、信長殿。
  既に予約は完璧なまでに済ませております。万に一つも打ち漏らしませぬ」

信長「おろ、誰かと思ったら久秀じゃないか」

家康「久秀…?え、ひょっとしてあの松永久秀!?

久秀「ひょっとして自己紹介はまだでしたかな。わたくし松永久秀と申す、
  愛と勇気だけが友達の者で御座います。以後お見知りおきを」

家康「堂々と嘘つくなよ!真逆だろ、アンタの性格!」

信長「家康殿、久秀は凄いんだよ。主君を殺してみたり、将軍を暗殺してみたり
  奈良の大仏殿を焼いてみたりしたんだよ。極悪人だよねー」

久秀「いやぁ、あまり褒めてくれますな信長殿。
  それらは若き頃の可愛らしき過ちに御座いますれば」

家康「この二人、怖ッー!恐ろしいことを爽やかな笑顔で言い合ってる!」

信長「どうやら京の案内もうまくいったみたいだし、良かった良かった。
  久秀、引き続き家康殿の接待頑張ってねー」

家康「え、ちょ、信長殿!?」

久秀「お任せ下され、信長殿。不肖この久秀、一命を賭してこの大任を遂行する
  次第で御座いますゆえ


家康「(や、やばい。暗殺される…(((( ̄□ ̄;))
  あ、ちょっと儂お腹が痛くなってきたんで三河に…」

久秀「何と!それは大変ですな。
  わたくし特製のこの薬で快癒すればよろしいのですが…」


家康「ちょっ!誰か助けてーーーー!!!



この話
続 き ま す 。


モドル