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  1.  v


第拾弐回 最上義光と赤いにごり湯温泉


兼続「今回は小嶋殿のリクエスト『出羽の驍将』こと最上義光殿の逸話ですね」

景勝「う〜ん…上杉家は、この方と微妙に仲が悪いからなんとも…」

兼続「まぁ、関ケ原合戦の裏舞台で戦ってたってだけの話ですけどね」

景勝「それにしても、関ケ原かぁ…俺も出陣したかったなぁ…(遠い目)」

兼続「はぁ?景勝殿が来ても、役立たないでしょ

景勝「そ、そんな『さも当然』みたいな顔でこっち見るなよ!」

兼続「っていうか、はっきり言って
邪魔でしょ

景勝「やめろって!一点の迷いも無い目はやめろって!」

兼続「っていうか、ぶっちゃけ
雑魚でしょ

景勝「見ないで!一点の濁りも無い目で俺を見ないで!」

兼続「っていうか、実は『関ケ原に景勝はいらん』って書状が来たんですよ」

景勝「この時代にイジメかよ!?イジメ、カッコワルイ!」

兼続「記念すべき『人類初のいじめられっこ』誕生ですね☆」

景勝「全くありがたくねぇー!Σ( ̄□ ̄」


さて、景勝殿のツッコミが綺麗に決まったところで、本編に入りましょうか。
まずは最上義光殿について少し説明を致します。
最上殿と言えば、権謀術数を駆使して戦国の世を渡った武将の代表者ですね。
奥州・最上家十一代当主で、関ケ原後には山形五十七万石の大名になります。
そして最上殿の妹は、かの高名な義姫…伊達政宗の母親です。
彼女による伊達政宗毒殺未遂事件の黒幕は、この最上殿だと言われていますね。
…いやー、これだけでも相当濃いプロフィールですが…
今回は、そんな最上殿がまだ十六歳・肌つやつや時代の話をしようと思います。

最上殿はこの日、父親の義守殿と共に、高湯温泉へ行きました。
ちなみは高湯とは、今でいう蔵王のことです。
親子水入らずのはずですが…あれ?少し様子がおかしいですね。


義光「ふう…この温泉、なかなかのものですなぁ」

義守「うむ、そうだな、義光よ」

義光「この温度といい、透明度といい、素晴らしいですなぁ」

義守「うむ、そのとおりだ、義光よ」

義光「いや、まさに父上は隠居したいと思っているのですなぁ」

義守「うむ、本当にそのとお……って、違ぁーうッ!」

義光「チッ…気付きやがったか……」

義守「危なかった!温泉の気持ち良さと直前の問答のせいで、
   うっかり隠居を了承するところだった!」

義光「父上のような老人がいつまでもはびこってるから、
   最上家はイマイチ繁栄しないのですぞ?」

義守「いや、儂は老人じゃないし!まだ四十歳!
   まだ孔子が何事にも悩まなくなった程度の年齢!
   っていうか、何でお前はそうやって実の父親に謀略をしかけるんだ!?」

義光「父上、これはただの陰謀…もしくは悪だくみでございます」

義守「意味いっしょだよ!」

義光「しかしながら、どこか
無邪気さが感じられます」

義守「無理言うな!」

義光「十六歳といえば、まだまだ無邪気さの塊。無理矛盾は一切ございません」

義守「ウソつけよ!お前、恐いよッ!
   くぅ…最上家の先行き不安ッ!どうしようもないよ!この長男!」


…このように、どうやら最上殿はお父上と折り合いが悪いようです。
っていうか、早くも謀略の才に目覚めている最上殿が原因みたいですけど。
さて、そんな最上親子の背後に、三つの忍び寄る影が現れます。


義光「ん…?あの岩の裏……」

義守「だいたい次男の義時は素直な良い子なのに…(ブツブツ)」

義光「ふん、盗賊か…」

義守「お前ときたら、朝から謀略ばかり…おい、聴いているのか、義あ…」

盗賊A&B「最上義守・義光、覚悟ォォォォォ!!!」

義守「
すみません人違いでした!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!(叫)」


その瞬間、最上殿は近くに置いてあった刀をとっさに取り…


義光「甘いッ!

 ザシュッ!ザシュッ!

義守「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!(叫)」

義光「フン……ふたり掛かりでその程度か?」

義守「む…無意味にかっこいい!Σ( ̄□ ̄」


飛びかかってきた盗賊二人を一瞬にして斬り、手傷を合負わせ…


盗賊C「こっちからも行くぞ、覚悟ォォォォォォ!!!」

義守「息子誉めてすみませんでした!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!(叫)」


続けて飛び出してきた大男(盗賊C)の方へ刃を返し…


義光「遅いッ!

 ザシュッ!

義守「ひょぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!(叫)」

義光「まだだ!」

義守「
まだ!?

 ザシュッ!

義守「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!(叫)」


二度刃を斬り落とし、相手の力が萎えたところで…


義光「こいつ等…生かしてはおけんな」

義守「よ、義光!もうやめ…」

 ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

義守「ぬひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!(叫)」


三人の首をかっ斬り、刀の先にその首の一つを突き刺し…


義光「ふん…造作も無い」

義守「む…無駄に
かっこよすぎまくり!Σ( ̄□ ̄」

義光「この三人…最上義光が討ち取った!」


たかだかと首を掲げ、凱歌をあげました。


…いやー、こりゃ本当にかっこいいですねェ。
戦国大名たるもの、こういう逸話がほしいですね。ね?景勝殿?
しかし、父親の義守殿はそんな義光殿に危機感を覚えます。
まぁ、十六歳でこの才覚。当然と言えば当然かもしれませんね。


義光「ふう…では父上、もう一風呂浴びていきましょうぞ」

義守「断わる!
湯の色が赤い温泉になんて入れるかッ!気色いよ!」

義光「それでは家督を今すぐ私に継がせる…ということですね」

義守「あぁ、もうそうし……
って、駄目ェーッ!


こうした出来事が続いたかどうかは不明ですが、二十三歳の時、最上殿は幽閉
されます。しかし、そのあと最上殿は謀略に謀略を重ね、父を隠居させ、
最上家の跡目にたっていた弟を忙殺し、家督を相続致します。
ま、僕みたいな
正義と愛に満ち溢れた人間には、到底出来ない所業ですね♪

語り:直江兼続


  モドル