第弐回 武田信玄・●●が怖い!


密閉空間、幽霊、暗闇、饅頭、お茶、etc etc…。
人には一つ二つ『苦手なもの』『嫌いなもの』があります。
もちろん、戦国武将も人の子ですから、どんなに英雄だろうと、名君だろうと、
謀略大好きっコだろうと、マッチョだろうと、猿だろうと、例外ではありません。
そう、例えばこの人…


信玄「燃焼系♪燃焼系♪は〜るのッびん♪」


はい、今回の主役、武田信玄殿のご登場です。
武田殿といえば、言わずと知れた僕の御屋形様の永遠のライバルですね。
彼の事は説明する必要も無いっぽいので、このままスルーさせて頂きます。
さて、何故か武田殿は気持ち悪いくらいのハイテンションっぷりですが…
このまま子供の寝顔を除く母親の様に、暖かく見守ることにしましょう。


信玄「こんな運動し〜なくてもぉ〜♪(編詩:武田信玄)」

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタッ

信玄「?」

馬場「この野郎、晴信!(←信玄の本名)お前ちょっとこっち来い!」

信玄「ば、ば、ば、ば、ば、馬場さん!?何何何!?」

馬場「いいから来い!!」


おやおやおや、武田殿、どこかに強制連行ですか。
っていうか何回『ば』言えば気が済むんでしょうか、この人は。連呼しすぎ。
…ちょうど良い機会なので、馬場信房殿の紹介を少しだけ。
馬場殿といえば『武田四名臣』の一人で皆の信頼厚く、一国一城の主に
なっても人後におちぬ…と言われた、名将中の名将です。
余談ですが、彼の最期は文句無しにカッコイイ漢(おとこ)の死に様なので、
興味のある方は是非調べてみてください。
(『勿体ぶらないで教えろよ』と、管理人に密書を送るのも策ですね)


馬場「よし、着いた。晴信!お前に見せたい物がある!さあ受け取れ!」

信玄「え〜、何かな〜。晴信どッきどき〜。
   ………ってこれ芋虫じゃん!!気持ち悪い!嫌ッ!」

馬場「嫌じゃない!こんなちっぽけな虫が嫌いでどうする!
   仮にもお前は一国の主だろうが!!ほら!逃げるな!触れ!掴め!」

信玄「無理!嫌なものは嫌だもん!うねうねしてて気持ち悪いし! 
   あと、馬場さん、顔恐いよ!」

馬場「くぅッ!こいつ、ドサクサに紛れて人の顔にケチつけやがった!!
   こうなりゃ、その芋虫嫌いが治るまで徹底的にやってやる!」


…そう、武田殿の苦手なものは、何と『芋虫』。
まるで女子供のようですが『あのうねうね感が生理的にダメ』なんだそうです。
ところで、武田殿苦手克服作戦実行中の馬場殿が、微妙に楽しそうに見えるのは
僕だけですか?…僕だけですか、そうですか。


馬場「ほぉーら晴信、芋虫だぞ〜!」

信玄「やめろ!恐い!気持ち悪い!」

馬場「モスラ(芋虫系)の逆襲〜!がおーん!」

信玄「やめろって!」

馬場「ほぉ〜れ、何ともう一匹降臨してきたぞ〜?どうする晴信!」

信玄「くっ、くそぉ!天下の武田信玄様を舐めるなよ!この芋虫めが!!」


そう言うと、武田殿はいきなり芋虫を手に取り…

ブチッ

…と握りつぶしてしまいました。はい、もちろん芋虫を、です。
馬場殿は『握りつぶせ!やれ!やってしまえ!』とは言ってませんから、
この行動はもう、君主としての意地から出たものと思ってほぼ間違いありません。
家臣に『芋虫が恐いなんて超ダサい』とか言われたくなかったんでしょう。

見事宿敵芋虫を握りつぶした武田殿ですが、大変だったのはそれからでした。


馬場「やったな、晴信!これでお前は恐いもの無しじゃないか!
   言うなれば『東西南北中央不敗すーぱー晴信』だな!」

信玄「………。」

馬場「…?どうした晴信?」

信玄「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
   触っちゃった、掴んじゃった、握っちゃった、つぶしちゃった!
   気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!」


武田殿、芋虫をつぶす感触のあまりの気持ち悪さに、大パニック発動。
このとき武田殿の指は、恐怖で先まで真っ青になってしまったそうです。
武田殿はすでにいい年したオッサンですが…仕方ない事です。
だって、あの感触は…殺人モノですから…。(←過去に実験済み。経験者は語る)

この生涯をかけた、武田殿と芋虫の戦い。
その後どうなったか、残念ながら、僕が所持する書物には記述されていません。
僕は、結局武田殿と芋虫殿が和平を結ぶ事はなかった…と思いますが…。
この話の情報は随時、お待ちしております(半分本気)。

語り:直江兼続


景勝「『あの』武田信玄殿が芋虫が怖いとは…意外だな」

兼続「そうですね。所で景勝殿には何か苦手なものってありますっけ?」

景勝「ん?そうだなぁ…。特に無いが…」

兼続「じゃあ嫌いなものは?」

景勝「…信念や義が無い人間は好かんな。そういうお前はどうなんだ?」

兼続「僕ですか?僕はあまり好き嫌いを言わないタイプなんですが…
   超が付くほど嫌いな人が、一人だけいるんですよ」

景勝「要するに、英語で言うなら『すぺしゃる』に嫌いなんだな」

兼続「…。次、そのド下手な英語使ったら頭カチ割りますからね(笑顔)」

景勝「ゴ、ゴメンなさい!

兼続「話戻しますよ。暴露すると僕が超嫌いなのは、長尾顕景殿です」

景勝「ふーん。長尾顕景…といえば…。」

注:長尾顕景=上杉景勝の本名。

景勝「お、俺!?嘘でしょ!?」

兼続「はははそんなに驚かなくても良いじゃないですか冗談ですよ(棒読み)」

景勝「な、何で棒読みなの!?恐ッ!ていうか、せめて句読点入れようよ!?
   …見つかった!俺の苦手なものは『棒読み(句読点無し)』!恐すぎ!」

兼続「『こうして景勝は、一回り大きくなったのでした』めでたしめでたし♪」


  モドル