第四回 毛利雪合戦!(後編)


皆さんこんにちは。スーパー軍師・樋口与六こと直江兼続です。
今回の逸話集は前回に引き続き『毛利雪合戦』後編をお送りします。
…前回、景勝殿のこのコーナーを任せてみたのですが、この世のものとは思えないほど
激分かりにくい説明をしやがりましたので…早急に排除しました(笑顔)。
今回は僕がしっかりと語らせていただきますよ。ふふふふふ…。


さて、第一回戦で元春マッチョ殿に、無残にもボロ負けした隆景殿は、
仲間を集めて反省会&作戦会議をはじめました。
ちなみに元春殿はマッチョポーズの研究、元就殿はそのツッコミに大忙しです。

隆景「ふぅ…。どうにかして兄上に勝ちたいなァ…」

元春「お前達、勝利の褒美は何がいい?…ん〜そうかそうか!
   もう一度俺のボディーが見たいのか!ええい、このエロティカセブン達め!

元就『だから誰も言ってないってそんな事!お前幻聴多すぎ!病院行け!』

隆景「うーん。何かあの地球外生命体的マッチョに勝つ方法は…(元春の方を見る)」

元春「そこまで言うなら仕方が無い!さあ見よ!舐めまわすようにな!
   むぅーん!!」←ありえないくらい震える広背筋。

※筋肉豆知識:広背筋=俗に言う背筋。正常な人類が意識的に動かす事は、まず不可能。

隆景「……(驚嘆)。ダメだ、マトモに戦って勝てる相手じゃない…。
   一体どうすれば……………あ!そうだ、こうしよう!!!」


しばらくして隆景殿は「もう一度しましょう」と言い、再び雪合戦をする事になりました。
毛利家次男VS三男の真剣勝負、第二ラウンド開始です。
…が、何故か投げかけてくる隆景殿の軍は三人のみ。
しかし元春殿の軍は先程勝った勢いにのって、また我武者羅に投げつけます。
っていうか、多分人数が少ない事さえ、気づいていない恐れがあります。
いやー、このあたりの脳無しっぷりが実に心地よいですね。


元春「何度やっても結果は同じだぞ、隆景!俺のこの肉体がある限りお前には負けん!
   投げよ!投げよ!とにかく投げよ!
   大リーグナンバー1ピッチャー並みの速度を叩き出せ!」

隆景「くッ…。…皆少しずつ後ろへ退け!退くんだ!」

元春「臆したか隆景ッ!逃がすな追え!そして、ごくまれに俺の胸鎖乳突筋付近を見ろ!
   そうすれば肘に、ストレッチパワーが溜まるはずだ!むぅーん!!」

元就『ど…どこ!?胸鎖乳突筋ってどこ!?』

※筋肉豆知識:胸鎖乳突筋=首付近の筋肉。肘とは微塵の関係も無い。


…隆景殿は雪玉を投げつつ、そのまま後退。元春殿はそれを暴れ馬の如く追います。
しばらくして、隆景殿と元春殿はある地点へと入っていきました。


元春「さあ!どんどん投げ…ん?なんだここは…?突然道幅が狭く…」

隆景「…引っ掛かりましたね、兄上!さあ!出番です!」

元春「なッ!?しまったッこれは…伏兵か!?」


そう、隆景殿は五人中二人を、伏兵としてこの場所に配置していたのです。
図に表すとこんなカンジ↓(ちなみに赤が隆景殿軍、青が元春殿軍です)



…いやぁ、頭のひどく悪い景勝殿でも一発でわかるような素晴らしい図ですね。
図をごらん頂けば一目瞭然ですが、元春殿の軍は前と横を取られてしまっています。
そのまま隆景殿の伏兵軍が後ろにまわりこみ、しきりに投げかけたので
反撃の余地も無く、哀れ元春殿は打ち負けてしまいました。

これを見ていた元就殿、なにやら慌ただしく息子達の方に近付いていきます。
今ごろ出てきてもオセーんだよ、といったところですがね。

元就「お前達、三回戦などせずとも良いぞ。二人とも勝ったのだ、そこで止めておけ…」

隆景「あ…父上…。わかりました!(感動)
   ……ってアレ?何故父上がここにいるんですか?」

元就「えっ!?いや、あの、それは…(ドギマギ)」

元春「分かっておりますぞ父上!俺の裸体を鑑賞しに参上したのですな!」

元就「えっ!?ち、違ッ…っていうかすでに脱衣済みーッ!?」

隆景「な〜んだ、そういうことですか。じゃあ勝利の宴として兄上の裸体を拝みましょう!
   さぁ、父上もご一緒に!ら・た・い!ら・た・い!!」

元春「よ〜し!むぅーん!!!」

元就「ひ、ひどくムサイ!」

隆景「ら・た・い!マーッチョ!き・ん・に・くぅ!!」

元春「ふぅーん!!!!」←絶好調

元就「ひ、ひどく暑苦しい!ここだけ赤道直下!助けてーッ!!!」


この時元就殿は『将来、長男隆元を旗本とし、剛強だけをむねとして計略が少ない北国には元春、
そして、交際上手で計略を好む南国には隆景に攻めさせよう』と決めたそうです。
後年、元春殿は北国、隆景殿は南国を攻め、最終的に元就殿を十余州の太守に押し上げました。
…これは実に毛利家らしい逸話だと、個人的に僕は思うんですけどねぇ。
特に長男が全く話に絡んでない点とか。

ちなみに元春殿のことを『脳無し』などといってしまいましたが、実際はそうでもありません。
陣中で『太平記』を書くなど、なかなか知的な一面も持つ文武両道の名将。それが元春殿です。
…ま、これだけ書いといて、今更何を言っても説得力ゼロですけどね〜♪

語り:直江兼続


兼続「景勝殿、準備は良いですかー?雪玉作れましたー?」

景勝「え、あぁ、うん。…っていうか結局やるのか雪合戦…。俺の意見完全無視…」

兼続「ちなみに相手の頭をかち割るか、顔面を変形させるか、鼻をへし折った方が勝ちですから」

景勝「マジで!?シビアすぎッ!っていうか確実に死ぬよ!」

兼続「んじゃ、はじめ」

景勝「えっ、ウソ、もう!?ちょ、ちょ…待っ…!!」

 ヒュッ

景勝「ごばぁッ!!(頭部に雪玉クリーンヒット)
   …っ〜〜〜〜〜〜〜〜痛ったぁ!よ〜ろ〜く〜き〜さ〜ま〜!石入れやがったな!?」

 ヒュッ

景勝「ごぶはぁッ!!!(再び頭部に雪玉(石入り)クリーンヒット)
   痛っぅ!だから石入りは止めろ…ってオイ!頭からボタボタ血ィ出てるぞ俺!」

兼続「大丈夫ですってー、そのくらい」

 ヒュッ

景勝「まだ投げるの!?ア痛ッ!もうダメ!頭割れたってば!終了!俺の負け!降参!白旗!」

兼続「なぁーに甘ったれた事言ってんですか。そんなの『かち割れた』部類に入りませんよ。
   やっぱり、スイカの如く真ん中からパッカリ割れなきゃ!さぁ、どんどんいきますよーッ!」

 ヒュッ ヒュッ ヒュッ ヒュッ

景勝「ゴヴァチョフゥ!!!!(以後続々と頭部に雪玉(石入り)クリーンヒット)」

上杉景勝、頭部流血&無数のへこみにより全治1ヶ月。
今回の教訓:雪合戦は恐ろしい


  モドル