第七回 ●●にビビった北条氏康
皆さんお久しぶりです、こんにちは。帰ってきた直江兼続です。
今回は、僕の無断欠席理由も含めた逸話をお送りしようと思ったのですが、
さすがに三回連続伊達政宗フェスティバルは……ちょっと…ねぇ?
連続政宗に期待していた方々、まことに申し訳ありません。
後日、景勝殿に土下座させますので、それで御了承下さい(微笑)
…という事で、今回は北条氏康殿の逸話をチョイスさせて頂きます。
氏康殿といえば、武田信玄、御館様(謙信)と並び、『関東三国志』と言われる
名君中の名君です。御館様と違って内政もできますよ、氏康殿は(邪)。
他の二人に比べて若干知名度が低めなのは、もうこの際ご愛嬌ですね。
さて、これは氏康殿が12歳の時の話です。
この日、氏康殿は家臣たちの銃術の訓練を初めて見学しました。
氏康「あーもーチョウザー。なんで氏康がわざわざこんなヘンピな所で
暑苦しい奴等の練習なんて見学しないといけないのー?
もうマジ最悪ー。っていうかウザーい。帰りたーい」
幻庵「まぁそぉ言わずにぃ!意外と面白きモノかも知れませぬぞぉ?」
氏康「えー、マジでー?っていうか、幻庵ジィ老け過ぎー。いま何歳?」
幻庵「今年満35歳を迎えますぞぉ!今から老けておけば、本当に老けた時
あんまり気にされないから、ワザと老けておるのですじゃぁ!」
氏康「えー、ちょっと頭良くなーい?幻庵ジィ、ある意味曲者ってやつ?
じゃあさー、具体的に何をすれば良いのー?氏康、ちょっと興味あるカモ」
幻庵「若くして人生の年輪を醸し出す為には、まず朝は3時に起床して…」
※話が大幅にずれそう&長そうなので、一部省略致しますm(_
_)m
幻庵「……というわけなのですじゃぁ!さあ今すぐレッツトライ★」
氏康「えー、なんか面倒くさそー。幻庵ジィ帰って良いよ。氏康もう飽きた」
幻庵「いやぁ、若様は正直ですなぁ!では、頑張って見学するのですぞぉ!」
氏康「チョーラクショーに決まってんじゃん。氏康を誰だと思ってんのー?
氏康は氏康だから、肝据わりまくりーだよ、マジでー。
ホラ、じゃんじゃん始めちゃってよー。撃って撃って撃ちまくってー」
いつものように氏康殿、ワガママ放題、好き放題。
『世界は氏康殿を中心として回転していますレベル』ですね。
…しかし、今回は予想外の展開が氏康殿を待っていたのです。
鉄砲隊長「只今から発射訓練を致します」
氏康「氏康、即効帰りたい気持ちで溢れそうだから、すぐ終わらせてねー」
鉄砲隊長「ではぁ!いきますぞぉ!!!」
氏康「何故幻庵ジィ!?」
鉄砲隊長(幻庵)「をおぉぁあいよぉぅッ!!!」
氏康「何それ!?掛け声!?発音むずッ!」
ズッパァァァン(←鉄砲の音)
氏康「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」
いやまさに、北条氏康一生の不覚。
凄まじい鉄砲の音にビビった上、失神寸前状態になってしまったのです。
まぁ、鉄砲の音を初めて聞いた人は、たいていそうなるでしょうから、
恥ずかしい事でもないのですが…一部の家臣が『氏康様がビビったぞ』
という顔をして笑ってしまったから、さあ大変。
氏康「……………いま氏康の事、笑った?」
家臣「えっ、あっ!(ハッとして笑うのをやめる)」
氏康「……笑ったよねぇ?」
家臣「……(や、やばい…)」
氏康「氏康の事、カッコ悪いとか臆病とかダサいとか思った?」
家臣「い、いえ…仕方の無いことかと……」
氏康「チョー最悪ッ!氏康恥ずかし!氏康恥ずかし!氏康こっ恥ずかし!!
氏康恥ずかしくてもう生きていけない!こんな生き恥晒して生きてくくらい
だったら今死ぬ!ここで死ぬ!!今すぐこの場所で自害するッ!!」
家臣「マ、マジっすか!?お止め下さい若様ッ!」
氏康「氏康、この『しゃねるのばっく』と一緒に、儚い命を散らしちゃう!」
家臣「わ、若様を取り押さえろーッ!!!」
少し補足をさせていただくと、ここでいう『鉄砲』は中国式のものです。
種子島に鉄砲が伝来したのは1543年ですが、中国式の鉄砲(=火砲)は
コレ以前に日本に伝えられていた、ということですね。
しかし、中国式鉄砲は使い勝手が悪かったらしく、実戦にはほとんど
使用されていません。まぁ『武士のたしなみ』としての鉄砲訓練だと
思っていただければ幸いです。
…結局、氏康殿は家臣に止められたので、自害する事はありませんでしたが、
12歳で『恥ずかしいから自害する』と言うとは、なかなかの戦国人っぷりです。
え?僕ですか?
何かあった時、自害するかって?
僕は自害なんて野蛮な事しませんよ、決まってるでしょう。
あぁ、でも大丈夫です。
僕の変わりに景勝殿が自害するので、何の問題もありませんから(笑顔)
語り:直江兼続
兼続「うーん…なんか随分久しぶりでしたね、このコーナー」
景勝「お前が二回もサボるからだろ。…一人で大変だったんだぞ」
兼続「だって前回、伊達政宗の逸話だったんですよね?
僕、伊達政宗と仲悪いんですよ。景勝殿も知ってるでしょう?」
景勝「………そうだったっけか?」
兼続「はい。もう、顔見ただけで殴りたいと思うレベルです。
っていうか、一抹の手加減も無しに、目の中に指を突っ込み
たいなぁとか、結構日常的に思ったりもしています。
ホント、考えただけでも腹立ってきますよ、あの眼帯野郎。
次会った時は、右目をピンポイントで確実に刳り貫くつもりです」
景勝「お、落ちつけ与六!ひとまずストップ!」
兼続「ふふふ…大丈夫ですよ景勝殿。僕は冷静そのものです。
…さて、今から伊達政宗の居城に、討ち入りでもしましょうか」
景勝「ええッー!?どこがどう冷静なんだよ、その判断の!?」
兼続「ホラ、行きますよ」
景勝「マジで!?行くの!?本気!?」
兼続「マジですし、行きますし、本気です。
さぁーて、指立てでもして、軽く鍛えておきましょうかね〜♪」
景勝『……………刳り貫くつもりだ………(怯)』
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